なぜ、ビラを配布しただけなのに、逮捕・起訴されてしまうのでしょうか?
通常、「住居侵入罪」とは、空き巣や自宅に押し入る強盗など窃盗や強盗などの目的を果たすため、
その手段として犯してしまう犯罪として認識されています。
(こうした窃盗罪と住居侵入罪の関係を「牽連犯関係」といいますが。)
「住居侵入罪」は他人の住居における平穏を害する行為を罰するものとして予定されているのです。
一方、普段住んでいる家には、郵便物や新聞の他にも「飲食店のチラシ」や「各種勧誘のビラ」など、
頼んでもいないのにいろんなものが投函されています。
そんな現在の社会生活の中でつい最近、そのビラの投函を巡り、
ビラを投函した人が逮捕され、裁判にかけられるという事件が立て続けにおきました。
こういった行為を処罰することで、ある憲法上の権利が侵害されてしまいます。それが「表現の自由」です。
巨大なマス・メディアによって多くの人は専ら事実を受け取る側になると思いますが、
最近はインターネットなどで情報を発信することもできます。
ビラの配布も、また少し原始的ではありますが、情報を発信するための方法だと思います。
にもかかわらず、こうしたビラの配布を目的とした他人の住居への立ち入りを
逮捕などの方法で抑制してしまうのは、どうなのでしょうか?
そこで、上でちょっと述べました他人の平穏を害する行為を罰する
「住居侵入」と「表現の自由」の対立が問題となるのです。
そこで、テーマを「微罪逮捕〜ビラ配りは憲法で守られるか〜」と銘打って、
こうした事件を裁判劇として上演します。
事の発端は静岡市にある市民団体「静岡駿河の風」。
この団体に所属する野村孝は、「静岡駿河の風」の活動の一環として、
この模擬裁判を通して、今回のテーマについて興味を持っていただけると光栄です。
みなさんのご来場を心からお待ちしております。
なお、劇中に登場する人物・団体などは全て架空の人物であり、名称は模擬裁判実行委員が勝手に作り出したものです。
また、実際の判例などを参考に脚本を起こしましたが、実際に起きた事件とは無関係です。